二次相続とは
二次相続とは、一次相続で相続人となった者(配偶者など)が亡くなった後に起こる、2回目の相続のことをいいます。たとえば、父と母、子どもがいるような事案で、まず父が亡くなり、母が相続人となるが、すぐに母も亡くなり、子どもが相続するような場合です。
二次相続では基礎控除額が減ったうえ、子どもには「配偶者の税額軽減」のような大きな控除が認められないため、多額の相続税が発生することがあります。
二次相続を見据えた対策方法
生前贈与を行う
一次相続が終わり、配偶者の手元に財産がある場合は、二次相続が始まるまでの間に毎年子供や孫に贈与をして手元の財産を減らしていくという方法があります。
贈与した場合には、贈与税が課税されますが、贈与税には年間110万円までの基礎控除が認められています。
ただし、たとえば「10年間、毎年金100万円を贈与する」というように、毎年定額を贈与することを定めた場合、「定期贈与」と認定され、10年間×100万円=1000万円全額に対して贈与税が課税されるので注意が必要です。定期贈与と認定されないようにするためには、毎年、贈与契約を締結するようにしてください。できれば、贈与の金額や時期も変えた方が安心です。
また、生前贈与された財産でも、相続開始前3年以内に贈与されたものは相続税の対象となるため、早めに動くことが肝心です。
生前対策では、配偶者の資産は増やさない
配偶者の資産が増えれば、二次相続で相続の対象となる財産が増えることになります。
一次相続の際に配偶者があまり多くの財産を相続しないことはもちろん、賃料収入などを多く見込める収益物件や株価評価が上がりそうな同族会社の株式は、なるべく子どもや孫に移転するなどの工夫をすることを検討してください。
一次相続では自宅は同居の子に相続させる
父が先に亡くなった場合、父の自宅は母が相続することが一般的です。
このとき母は「配偶者の税額軽減」で相続税がかからないことが多く、小規模宅地等の特例を使っても効果がありません。父と同居していた子供が父の自宅を相続すれば、小規模宅地等の特例で子供の相続税が軽減されます。さらに、相続税額が高くなる二次相続の財産を少なくすることもできます。
しかし、子供が小規模宅地等の特例を使うためには、一次相続の前から両親と同居している必要があります。この同居という要件は二世帯住宅であっても認められるため、自宅を二世帯住宅に建て替えることも有効な相続税対策になります。